溶断指示書通りの緻密な作業が求められる溶断では、精度を上げつつ効率も高め、BHとしての生産実績を残すことも要求されます。
鋼板を溶断する場合は、幅や長さをケガキバリ(罫書針)でマーキングして、それにガスのトーチを合わせていきます。これを「火を合わす」と言いますが、ここまでの作業できちんとした精度を出すことが最も重要と言えます。溶断に続く工程の精度や効率に、大きく影響してくるからです。 とはいえ、鋼板の性質上、火を正しく合わせても寸法通りに切断できない場合があります。余長のある鋼板ならば、溶断していく先で寸法に合わせていくなどの工夫も必要になります。
溶断の開始を「火を入れる」と言いますが、火を入れてしまうと後戻りできないのがこの作業です。そのため火入れ前はもちろん、火入れ直後の確認はより重要な意味を持ちます。
火入れ直後からは切断幅や切断スピードなどの確認作業が始まり、切断後の半製品となった片付け段階でも、切断面の粗さといった品質への確認作業は続きます。変形部材のオーダーになると、作業ごとの確認はさらに厳しさを増します。
またストレート溶断の後に、横方向をポータブル切断機で溶断したり、NC切断機を使用したり、さらにレーザーやプラズマの切断機を組み合わせるなどの適応能力も要求されます。
鋼板は熱によって伸縮する生き物と言えます。生き物を相手にするわけですから、安全・品質・効率を確保するには集中力の持続が大前提です。その前提をもとに、後輩の育成では溶断指示書通りに溶断できるようになるまで、しつこいほど指導します。とくに変形部材の場合は、スケッチ通りの溶断が出来るかどうかの確認を作業工程ごとに求めます。
人それぞれ持ち味があるので、一概には言えませんが、一人前の技能工になるには10年くらいはかかるでしょうね。個人の性格もいろいろですが、一人ひとりの個性を大切にしながら、とにかく集中力を持って作業に当たれと当社では徹底して指導しています。