鋼と創造

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鋼と創造 BHの製作は、鋼そのものを知ることから始まる。
鋼と語り、鋼と折り合いをつけ、人の力を鋼の力に替えていく。
その品質を支えるのは、最新の設備と人の技である。

半自動溶接って何?

現在主流となっている、アーク溶接法です。 半自動溶接は、アーク溶接の一種で、戦後の日本の復興期に、それまでの手溶接に代わって一躍脚光を浴びた溶接法です。
鉄鋼加工業界は、巨大タンカーの建造や高層ビル建設などによる需要増で、高性能かつ効率的な溶接技術が要求されました。半自動溶接機は、それに応えるものとして開発され、改良が重ねられて爆発的に普及しました。現在でも溶接機の主流になっています。

手溶接とどこが違うの?
●作業効率が悪く、時代の要請に追いつけなかった手溶接

それまでのアーク溶接は、溶接材として長さ30~40cmの溶接棒というものを使い、それを手で操作して溶接していました。ところが、短くなった溶接棒を常に交換する必要があり、その都度タイムロスが生じて、大量に溶接する場合は、非常に効率が悪かったのです。勤勉で熟練した技術者でも、アークタイム率は約35%程度と、非常に低いものでした。


●溶接材の改良とガスの使用により、高品質と効率化を両立させた半自動溶接機

時代が求めたものは、高品質な溶接と溶接作業の効率化です。その要請に応じて開発されたのが、半自動溶接機でした。溶接材として、溶接棒の代わりに長いワイヤーを使用し、アークのシールド材としてガスを使用しました。ワイヤーはモーターで自動送給することで、溶接棒交換のためのロスをなくしました。また、溶融金属を保護するためのガスを連続供給し、しかも、溶接開始前から噴射することで、溶融金属を誕生と同時に保護、高品質な溶接を可能にしたのです。


■<資料>手溶接(被覆アーク溶接)法と半自動溶接(ガスシールド溶接)法の比較
手溶接(被覆アーク溶接)法 半自動溶接(ガスシールド溶接)法
作業効率 ・溶接材として、長さ30~40cmの被覆アーク溶接棒を使用しているため、交換の都度にタイムロスが生じる。 ・溶接材として、一巻き20kgのワイヤーをリールに巻いて使用。モーターで自動的に送給されるため、交換のためのタイムロスがない。
・アークタイム率が低い(約35%程度)。 ・アークタイム率が高い(約40~50%程度)。
・溶接速度が遅い(6mm脚長では、30~40cm/毎分)。 ・溶接速度が速い(6mm脚長では、60~80cm/毎分)。
・自動化が困難 ・溶接トーチをキャリッジに乗せるだけで、すぐ、自動化ができる。
溶接品質 ・溶接開始時にアーク熱で、溶接棒の被覆材が燃焼、ガスが生じて、そのガスで溶融金属が保護される。 ・溶接開始前からガスを噴射、溶接場から酸素や窒素を事前に排除するため、溶融金属は、誕生と同時に保護される。
・そのため、溶接の始点と終端部には欠陥が生じやすい。 ・そのため、溶接始点・終端部は、被覆アーク溶接法と比べて欠陥が生じにくい。
・被覆材が吸湿していると、欠陥が生じる。 ・吸湿するものを使っていないので、欠陥が生じない。
アーク現象 図 図

手溶接はガスを使わないのに、なぜ、半自動溶接はガスを使うの?
●ガスを使うのは溶融金属を保護するため。手溶接でもガスは使われていますよ。

半自動溶接でシールドガスを使うのは、溶融金属を保護し、健全な溶接継ぎ手を得るためです。手溶接ではガスを使っていないように見えますが、実は溶接棒の被覆剤に秘密があるのです。アークによって、溶接棒の被覆剤が燃焼するとガスが発生し、溶融金属を保護しているのです。


●半自動溶接のガスは、溶接品質の向上にも役立っているのです。

半自動溶接のガスは、手溶接のガスと違い、アークを発生する前に噴射し、溶接場から酸素や窒素を事前に排除します。そのため、手溶接の欠点である、溶接始点・終端部の欠陥が比較的少なく、溶接品質が向上します。


■手溶接作業のガス発生法とガスの役割

【図2】ガス切断開始点の予熱

■半自動溶接のガスとその役割

【図2】ガス切断開始点の予熱


半自動溶接の「半」とは何ですか?
●溶接の材料は自動供給ですが、溶接は手作業で行うため、「半自動」と呼ばれています。

半自動溶接機は、ワイヤーやガスは自動的に供給されますが、溶接作業は手作業です。溶接トーチを、技術者が手に持って作業を行うため、一般的に半自動溶接と呼ばれているのです。 溶接トーチを小型台車に乗せれば、簡単に自動化を図ることも可能です。 溶接トーチを、産業用ロボットに持たせたものが、溶接ロボットです。


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