例えばプロパンガスやアセチレンガスなどで、どれだけ長時間鋼板を切ろうと加熱しても、決して赤くならず、切れもしません。不思議ですね! なのに、そこへ酸素を加えると、なんと!僅かな時間で鋼は溶け出します。
溶断で吹き飛んだ鋼の量と、その同じ量の鋼を溶かすのに必要な熱エネルギ-値では、比べものにならない程、大きな差がある事に驚かされます。 この差が酸化反応に依るものだと考えられています。(図1)
鋼を切断するには、まず、切断開始面を余熱します。(図2)
その真っ赤に熱した鋼のプ-ルの中に、高圧酸素気流を吹き付けると、鋼と酸素との間に急速な科学反応が起こり、鋼は燃焼しスラグとなって溶融すると同時に、酸素噴流の機械的エネルギ-によって数十ミリもある鋼板が切れていきます。(図3)
鋼板面が発火温度900度に達したら、そこへ高純度の酸素を吹き付け鋼材を燃焼させ、その熱で更に鋼材を溶融させると同時に、燃焼生成物と溶融金属とを切断酸素が持つ機械的エネルギ-(噴出力)で吹き飛ばします。
この火口を連続的に移動させると溝状に鋼材が除去され、これがガス切断となるのです。(図4)
ガス切断の火炎は下図の様に調整します。(図5)
<技術参考>
●A.鋼の含有元素がガス切断に及ぼす影響
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●各種ガスの発熱量は次のとおり
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