金属を部分的に加熱し、溶かす方法は、いろいろ考えられてきましたが、現在の主流はアーク溶接です。
単に溶接といえば、アーク溶接を指します。
アーク溶接とは、アークの高温で金属を溶かし、溶接する方法です。それでは、「アーク」とは何でしょうか。
高い電位差のある二極を接触させると、その間に大きな電流が流れ、それを無理やり引き離すと、スパークして火花が散ります。
そのスパ-クが途切れぬ様、二極間距離と電位差とを一定に保つと、高温を継続的に引き出すことができます。それがアークです。(図1)
ア-クの高い温度(5000~7000℃)は複数の金属を瞬時に溶融し、それら金属を一体化する事ができます。
これがアーク溶接なのです。(図2)
アーク溶接に欠かせないのが溶接棒です。
溶接棒には、アークを発生させるだけでなく、溶接の品質を高める、重要な役割を担っています。(図3)
1.溶接棒は心線(金属部)と被覆剤から出来ています。
2.被覆剤は次の様な大変多くの重要な役割を担っています。
(1)ガスを発生して溶融金属を、空気中の酸素や窒素から守ります。(空気は21%の酸素と72%の窒素その他から出来ています。)
(2)溶融金属に入り込んでしまった酸素を、取り除きます。(脱酸剤としてケイ素やマンガン等が入っています。)
(3)溶けて固まったばかりの溶接金属を、急冷させない様にスラグとなって、覆います。
(4)地球の引力にも負けず、溶融金属が壁面や天井にも溶接出来る様、溶接の方向性を、良くしています。
(5)必要な合金元素を、溶接部に送り込んでやる事が出来ます。
現代の産業に大きく関わる溶接は、新しい技術が次々と開発され、レーザー溶接や高性能溶接ロボットなどが大量に利用されています。
1.手溶接 (ア-ク溶接)
2.グラビティ溶接(ア-ク溶接+冶具)
3.半自動溶接(ガスシールド、ノンガスシ-ルド、合成型)
4.全自動溶接(Submerged Arc Welding)
5.プラズマ、レ-ザ-溶接法の普及
プラズマ溶接、レーザー溶接は、これからの日本で著しく普及するであろう技術です。
●プラズマ溶接
プラズマアーク流により、特に非鉄金属の溶接接合に多く使われていますが、その特徴は、キーホール溶接といって、表面からのみのアークで、裏側にも溶接金属が作られる優れた施工方法です。薄鋼板、ステンレス、アルミ等の鋼管の溶接などによく使われています。
●レーザー溶接
日産自動車のゴーン社長が日産再建の手始めに、レーザー溶接機を多数導入したのは有名な話ですが、彼が言った言葉に「日本の車は、すぐに水に沈むが、欧州車はしばらくは浮いている」とのこと、「なぜなら、日本はスポット溶接(点)だが、欧州車はレーザー接点で、しかも、シーム(縫合)であるから、車体の剛性が強い」だそうです。その、信念で会社を立て直しました。